雪道運転を安全に乗り切るために―冬の道路で命を守る知識と技術―
目次
雪道運転の危険性と特徴

雪道は、見た目以上に滑りやすく、ブレーキやハンドル操作の感覚が大きく変わります。
特に新雪や圧雪、シャーベット状の雪、凍結路面(ブラックアイスバーン)など、路面状況によって滑り方や車の挙動が全く異なります。
たとえば、凍結した交差点や橋の上は見た目では乾いて見えることもあり、油断した瞬間にスリップすることがあります。さらに、雪が積もると道路の白線や縁石、ガードレールの位置が分かりづらくなるため、走行位置を見失う危険もあります。
雪道では、「速度を落とす」「急がない」「車間を取る」の3原則が安全の基本です。
出発前に必ず確認すべき車の準備
雪道に入る前の準備が、事故の大半を防ぎます。特に以下の項目は必須です。
●タイヤの状態
スタッドレスタイヤを装着していても、溝の深さが4mm以下になると性能が著しく低下します。
また、タイヤの製造年も重要で、製造から4〜5年を過ぎるとゴムが硬化し、滑りやすくなるため注意が必要です。
●ワイパー・ウォッシャー液
雪の日は視界の確保が最重要。凍結対応のウォッシャー液を使用し、ワイパーゴムが硬化していないかも点検します。
●バッテリー
寒冷地ではバッテリーの性能が低下します。始動が弱いと感じたら早めの交換を検討しましょう。
●ライト・ブレーキランプの点灯確認
雪の日は昼間でもライトを点けるのが鉄則。自車の存在を他車に知らせる効果もあります。
●雪下ろし
屋根の上の雪を落とさずに走ると、ブレーキ時に雪がフロントガラスに落ちて視界をふさぐ危険があります。
必ず車全体の雪を落としてから出発しましょう

雪道での走行テクニック(発進・加速・減速)
雪道では「ゆっくり」が最も大切なキーワードです。
●発進時
タイヤが空転しないように、アクセルはじわっと踏みます。
オートマ車の場合、「2速発進」モードがあるなら利用しましょう。タイヤが滑りにくくなります。
●加速
急なアクセル操作は禁物。グリップ力を保つため、一定の力で加速を続けます。
●減速・停止
ブレーキを踏むときは、ポンピングブレーキ(断続的に踏む)を意識します。
ABS付き車でも、強く踏み込むと制御が効かず、滑走距離が延びることがあります。
また、下り坂ではエンジンブレーキを併用し、急ブレーキを避けましょう。
カーブ・下り坂・登り坂の走り方
雪道では直線よりもカーブや坂道が危険です。
●カーブ前
カーブの手前でしっかり減速しておくことが鉄則。
ハンドルを切ってからブレーキを踏むと、タイヤが横滑りしやすくなります。
●下り坂
エンジンブレーキを使いながら、ブレーキを断続的に踏んで速度を保ちます。
一定の速度を維持することが安全につながります。
●登り坂
停止してしまうと再発進が難しくなるため、坂の途中では止まらないように。
一定のアクセルで登り切ることを意識します。
雪道の視界とライトの使い方
雪の日は視界が悪く、対向車のライトの反射も強くなります。
昼間でもスモールライトまたはロービームを点灯し、自車の存在を周囲に知らせましょう。
また、リアフォグランプ(後部霧灯)が装備されている車は、吹雪のときに活用を。
ただし、通常時に点けっぱなしにすると眩しく、後続車の妨げになるため注意が必要です。
スリップ・スタック時の正しい対処法
●スリップしたとき
ハンドルを急に切らず、滑っている方向にハンドルを合わせるのが基本です。
焦って逆方向に切るとスピンしやすくなります。
●スタック(雪にハマった)場合
アクセルを強く踏み込むと、タイヤが掘り進んでさらに抜け出せなくなります。
一度停止し、タイヤの前後をスコップで掘り、段差をつけると脱出しやすくなります。
また、毛布やゴムマット、砂をタイヤの下に敷くのも効果的です。
雪道で役立つ装備と便利グッズ
・スコップ・雪ブラシ・解氷スプレー
・牽引ロープ(万一スタックした際の脱出に)
・チェーン(スタッドレスでも登れない急坂用)
・毛布・防寒具・懐中電灯(立ち往生に備えて)
・携帯用ブースターケーブルやジャンプスターター
これらは冬の車に常備しておくと安心です。
雪道運転でやってはいけないNG行動

・急発進・急ブレーキ・急ハンドル
・前車との車間を詰める
・車の屋根に雪を乗せたまま走行
・凍結した坂道での無理な追い越し
・ノーマルタイヤでの走行(法令違反になる地域も)
どれも一瞬の判断ミスが重大事故に直結します。
「焦らず、譲り合う姿勢」が雪道では何よりの安全策です。
高速道路や都市部の雪道での注意点
高速道路は除雪体制が整っていますが、油断は禁物。
特にトンネル出入口や橋の上は凍結しやすいため、速度を抑えましょう。
また、チェーン規制が発令された場合は、スタッドレスタイヤでもチェーン装着が義務となる区間もあります。
都市部では除雪が遅れることも多く、踏み固められた圧雪が滑りやすい状態に。
歩行者の飛び出しや自転車転倒にも注意が必要です。
まとめ:雪道運転の基本は「焦らず・無理せず・備える」
雪道運転は、普段の道路とはまったく別物。
経験や自信よりも、「慎重さ」と「準備」が安全を守ります。
・出発前にタイヤ・装備・天気予報を確認
・スピードを抑え、車間距離を長く取る
・無理な発進や急操作は避ける
・立ち往生や事故に備え、装備を常備
これらを守ることで、冬のドライブも安心して楽しめます。
雪道は危険もありますが、正しい知識と心構えで乗り越えることができます。
安全第一で、冬の道を走り抜けましょう。

- 出身地
- 埼玉県所沢市
- 担当部署
- リテール営業
- 略 歴
- 2019年にオートアベニューへ転職入社。
「お客様に寄り添う」をモットーに、快適なカーライフの提供に邁進中。新車、中古車、車検などの整備についての最新情報を発信!お客様からの「ありがとう。」を糧に毎日を全力で駆け抜けています!
- 出身地
- 東京都西東京市
- 役 職
- 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長
- 略 歴
-
1995年~1996年 オートアベニューでアルバイトをする
1997年~2002年 夫の仕事の関係で5年間オーストラリアへ
2002年4月~ 帰国後 株式会社オートアベニュー入社
2005年 株式会社オートアベニュー 専務取締役 就任
2008年 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長 就任 今に至る
車業界歴約30年。現在100年に一度の変革期と言われている車業界、EV化・自動運転・空飛ぶ車などに加え、車検法などの各種法律関係で多くの法改正が行われています。
今まで学んだ多くの事や車業界界隈の様々な事をわかりやすく、皆様にお伝えいたします。







