「走っていい車」と「即停止すべき車」の境界線|症状別診断から修理・予防まで徹底解説
目次
はじめに:故障は突然に。冷静な判断が愛車と命を守る

「最近の車は壊れにくい」と言われますが、高度な電子制御と数万点の部品で構成される現代の車にとって、日本の激しい寒暖差や渋滞は依然として過酷な環境です。故障はある日突然、予兆なくやってくることもあります。
トラブル発生時、ドライバーが最も悩むのが「このまま自走して修理工場へ行ってもいいのか?」それとも「その場でレッカーを呼ぶべきか?」という判断です。
この判断を誤ると、数万円の修理で済んだはずの故障がエンジン全損(廃車)になったり、最悪の場合はブレーキ不能などで重大事故に繋がったりします。本コラムでは、プロの視点から「自走の判断基準」を中心に、故障時の対応から予防策までを網羅的に解説します。
【緊急対応】故障発生!まず行うべき安全確保と「自走可否」の判断
走行中に異変を感じたり、エンジンが停止したりした場合、パニックにならず以下の手順で行動してください。
ステップ1:身の安全の確保と二次被害の防止
まずはハザードランプを点灯させ、後続車に異常を知らせます。可能な限り路肩や広いスペースに車を寄せましょう。
高速道路や交通量の多い幹線道路では、車内にとどまることが危険な場合があります。車を寄せたら、同乗者をガードレールの外など安全な場所に避難させてください。その後、発煙筒や三角表示板を設置します。
ステップ2:【最重要】「自走できるか」の判断基準チェックリスト
安全確保ができたら、ロードサービスを呼ぶ前に状況を確認します。以下の症状が一つでも当てはまる場合は、絶対に自走せず、エンジンを切ってレッカー移動を手配してください。
即停止・レッカー必須(自走NG)の症状
・赤色の警告灯が点灯
特に「油圧警告灯(魔法のランプのようなマーク)」、「水温警告灯(Hマーク)」、「ブレーキ警告灯(ビックリマーク)」は、走行を続けるとエンジン破損やブレーキ不能に直結します。
・異臭がする
ガソリン臭(燃料漏れによる火災の危険)、焦げ臭い匂い(車両火災の予兆)、甘い匂い(冷却水漏れによるオーバーヒート)は即停止案件です。
・煙や蒸気が出ている
オーバーヒートやオイル漏れが原因です。ボンネットを開けずにエンジンを冷ましてください。
・走行に支障がある振動・異音
ハンドルが取られる、タイヤ付近から激しい金属音がする、車体がガタガタ震える場合は、タイヤ脱落や足回り破損の危険があります。
・ペダルの違和感
ブレーキがスカスカする、アクセルを踏んでも進まない場合は制御不能になる恐れがあります。
様子を見ながら慎重に移動(自走可能の可能性)
・黄色の警告灯
エンジンチェックランプなど「黄色」は「注意・早めに点検せよ」の意味です。異音や振動がなく、挙動が正常であれば、近くの整備工場まで慎重に運転できる可能性があります。
・軽微なエアコン故障
冷房が効かないだけであれば、走行機能には影響しません(ただし、窓が曇る場合は視界確保のため危険とみなします)。
※注意:判断に迷う場合は、「無理に走らない」が鉄則です。迷わずロードサービスに相談しましょう。
ステップ3:ロードサービス・保険会社への連絡
自走不可と判断した場合、または判断がつかない場合はプロを呼びます。
・JAFなどのロードサービス
会員なら無料範囲が広く、非会員でも有料で利用可能です。
・自動車保険の付帯サービス
多くの任意保険にはロードサービスが付帯しています。レッカー移動距離や帰宅費用の補償が含まれることも多いので、証券番号を確認しましょう。
【セルフ診断】症状から推測する故障の原因
プロに連絡する際、どんな症状かを正確に伝えることで、現場対応がスムーズになります。
「エンジンがかからない」時のチェックポイント
・「キュルキュル」音はする
バッテリー上がりの可能性が高いですが、プラグかぶりや燃料ポンプ故障も考えられます。
・「カチッ」音がするだけ・無音
セルモーターの故障か、バッテリー完全放電です。
・スマートキー反応なし
キーの電池切れの可能性があります。キー本体をスタートボタンに押し当てる等の緊急始動方法を試してください。
・シフトレバーの位置
意外と多いのが、P(パーキング)に入っていないため安全装置が働いているケースです。
「異音・振動」が教える危険度
・「キーキー」音
ブレーキパッドの摩耗警告、またはファンベルトの劣化(鳴き)。早めの交換が必要です。
・「ゴォー」という唸り音
速度に応じて音が大きくなる場合、ハブベアリング(車輪の軸受)の摩耗が疑われます。放置するとタイヤロックの危険があります。
・「カンカン」「コトコト」
足回りのブッシュやマフラーの吊りゴム劣化の可能性があります。
「異臭」の種類でわかるトラブル箇所
・甘い匂い
クーラント(冷却水)漏れ。オーバーヒートの危険があります。
・ゴムが焼ける匂い
ファンベルトの滑りや、タイヤの異常摩耗、配線のショートなどが考えられます。
・生ガス臭い
燃料ラインの破損やインジェクターの不具合。火気厳禁、エンジン始動禁止です。

【費用と時間】主な故障箇所の修理代相場と期間
いざ修理となった場合、気になる費用の目安(工賃込み)を紹介します。
※車種や依頼先(ディーラー、町工場、カー用品店)により変動します。
バッテリー・電気系統
・バッテリー交換
1万〜4万円。アイドリングストップ車やHV車は高め。作業は数十分。
・オルタネーター(発電機)
5万〜10万円。ここが壊れるとバッテリーを変えてもすぐ止まります。リビルト品(再生部品)を使えば安く抑えられます。
エンジン本体・駆動系
・ラジエーター(冷却器)
5万〜10万円。水漏れ修理。
・タイミングベルト
3万〜10万円。10万キロ交換推奨部品。切れるとエンジンが壊れるため予防交換が基本です。
・エンジン載せ替え
30万〜100万円以上。オイル管理不足などでエンジンが焼き付いた場合の最終手段です。
エアコン・冷却系統
・エアコンガス補充
数千円〜1万円。
・コンプレッサー交換
5万〜15万円。エアコン故障の主要因。高額修理の代表格です。
足回り・タイヤ
・パンク修理
2,000円〜5,000円(外面修理)。
・ブレーキパッド交換
1.5万〜3万円(左右)。
【予防整備】故障リスクを劇的に下げるメンテナンス習慣

突然の故障を「運が悪かった」で済ませてはいけません。日頃のケアで確率は下げられます。
日常点検で見るべき3つのポイント
- タイヤ
空気圧不足はバーストの原因です。月1回はチェックを。溝だけでなくヒビ割れも確認しましょう。 - 液類の量
エンジンオイル、冷却水(サブタンク)、ウォッシャー液の量を目視確認します。 - 駐車場の地面
車を動かした後、地面にシミ(油や色のついた水)ができていないか見ます。漏れ発見の最強の方法です。
消耗品交換の最適なサイクル
メーカー推奨値より少し早めが、日本のようなストップ&ゴーが多い環境では安心です。
・エンジンオイル:5,000km または 半年ごと。
・バッテリー:2年〜3年ごと。
・タイヤ:4〜5年経過したら、溝があってもゴムの硬化により交換検討。
「違和感」を放置しないことが最大の節約
「なんか変だな」と感じた時点で点検に出せば、数千円のパッキン交換で済むことがあります。それを無視して走り続けると、オイルが漏れて他の部品にかかり、配線がショートし……と被害が拡大し、修理費が10倍になることも珍しくありません。
【判断基準】修理するべきか?買い替えるべきか?
高額な見積もりが出た時、多くの人が直すか乗り換えるか迷います。
車は10年または10万キロを超えると、タイミングベルトやウォーターポンプ、サスペンションなど高額部品の交換時期が重なります。また、13年経過で自動車税・重量税が増額されます。
この時期にエアコンなどが壊れた場合、それを直しても次はラジエーター、次はオルタネーター……と「故障のドミノ倒し」が起きやすい時期でもあります。
修理費が車両価値を超える時
現在の中古車市場での価値(下取り価格)が10万円の車に、20万円の修理費がかかるなら、経済的には「買い替え」が合理的です。
ただし、「あと2年(次の車検まで)乗れればいい」という場合は、新品ではなく中古部品を使って最低限の修理で済ませる方法もあります。整備工場に「いつまで乗りたいか」を伝えて相談するのがベストです。
まとめ:迷ったら「走らせない」が鉄則
車の故障対応について解説しました。最も重要なポイントをおさらいしましょう。
- 自走可否の判断:赤い警告灯、異臭、異音、煙が出たら絶対に走らない。
- 安全確保:故障したらまずは安全な場所へ。人間が車内に残るのは危険な場合がある。
- 早期発見と予防:違和感は放置しない。オイル交換等の基本メンテが結果的に一番安い。
故障は焦りを生みますが、無理な自走は愛車にとどめを刺すだけでなく、周囲を巻き込む事故になりかねません。「おかしいな」と思ったら、勇気を持って車を止め、プロの助けを借りること。それが賢いドライバーの選択です。

- 出身地
- 埼玉県所沢市
- 担当部署
- リテール営業
- 略 歴
- 2019年にオートアベニューへ転職入社。
「お客様に寄り添う」をモットーに、快適なカーライフの提供に邁進中。新車、中古車、車検などの整備についての最新情報を発信!お客様からの「ありがとう。」を糧に毎日を全力で駆け抜けています!
- 出身地
- 東京都西東京市
- 役 職
- 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長
- 略 歴
-
1995年~1996年 オートアベニューでアルバイトをする
1997年~2002年 夫の仕事の関係で5年間オーストラリアへ
2002年4月~ 帰国後 株式会社オートアベニュー入社
2005年 株式会社オートアベニュー 専務取締役 就任
2008年 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長 就任 今に至る
車業界歴約30年。現在100年に一度の変革期と言われている車業界、EV化・自動運転・空飛ぶ車などに加え、車検法などの各種法律関係で多くの法改正が行われています。
今まで学んだ多くの事や車業界界隈の様々な事をわかりやすく、皆様にお伝えいたします。







