自動車の名義変更(所有者変更)完全ガイド|必要書類・費用・手続きの流れを徹底解説
目次
はじめに:なぜ車の所有者変更(名義変更)が必要なのか?

車を手に入れた際、最も重要な手続きが「名義変更」です。正式名称を「移転登録」と呼びます。
法律上の義務と15日以内の期限
道路運送車両法第13条により、自動車の所有者が変わったときは、その事由があった日から15日以内に移転登録の手続きをしなければならないと定められています。これは「ついうっかり」では済まされない法的義務です。
名義変更を怠るリスク
もし名義変更を行わずに放置すると、以下のような深刻なトラブルを招く可能性があります。
・自動車税の納付書が旧所有者に届く
4月1日時点の所有者に課税されるため、トラブルの元になります。
・事故時の責任所在
万が一の事故の際、自賠責保険や任意保険の支払いがスムーズにいかない、あるいは旧所有者に法的責任が及ぶリスクがあります。
・駐車違反や法的通知
違反の通知が旧所有者に届き、人間関係が壊れる原因になります。
・売却や廃車ができない
自分の名義でない車を勝手に売ることはできません。
所有者変更が必要になる主なケース
個人間売買
最近ではヤフーオークションや、メルカリなどのフリマアプリ、SNSを通じた個人間売買が増えています。ショップを介さないため、書類の準備から申請まで全て自分たちで行う必要があります。
家族や知人からの譲渡
親から子へ、あるいは友人から無償で車を譲り受ける場合も、法律上は「所有者の変更」に該当します。贈与税の対象になる可能性もありますが、登録手続き自体は売買と同じです。
ローン完済による所有権解除
ディーラーローンなどで車を購入した場合、車検証の「所有者」欄がローン会社や販売店になっていることがあります(所有権留保)。ローンを完済しただけでは名義は変わりません。完済後に「所有権解除」という手続きを行い、自分の名義に変更する必要があります。
遺産相続
車の所有者が亡くなった場合、その車は相続財産となります。遺産分割協議を経て、誰が相続するかを決定し、相続人名義に変更する必要があります。これには戸籍謄本などの特殊な書類が必要です。
【普通自動車】名義変更の必要書類
普通自動車の名義変更は、管轄の運輸支局で行います。新旧双方の書類が必要です。
旧所有者(譲渡人)が用意するもの
①自動車検査証(車検証)
有効期限内のもの。
②印鑑登録証明書
発行から3ヶ月以内のもの。
③譲渡証明書
旧所有者の実印が押印されているもの。
④委任状
旧所有者が直接運輸支局に行かない場合に必要(実印を押印)。
⑤住民票・戸籍謄本など
車検証の住所・氏名と印鑑証明書の記載が異なる場合に、その繋がりを証明するために必要。
新所有者(譲受人)が用意するもの
①印鑑登録証明書
発行から3ヶ月以内のもの。
②委任状
本人が行かない場合に必要(実印を押印)。
③車庫証明書
警察署で発行。発行から概ね1ヶ月以内のもの。
状況に応じて追加で必要になる書類
・住民票
使用者と所有者が異なる場合などに必要。
・事業用自動車連絡書
緑ナンバー(営業車)の場合。

【軽自動車】名義変更の必要書類と特徴
軽自動車の手続きは「軽自動車検査協会」で行います。普通車よりも簡略化されています。
普通車との違い
・実印・印鑑証明が不要
基本的に署名で可能です。
・資産としての扱いが異なる
普通車は動産としての登記に近い性質がありますが、軽自動車は届出制に近い性質です。
軽自動車検査協会での必要書類
①車検証
原本。
②使用者の住所を証する書面
新所有者の住民票の写し(コピー可)または印鑑証明書。
③車両番号標(ナンバープレート)
管轄が変わる場合のみ。
④軽自動車税申告書
窓口で入手。
車庫証明(自動車保管場所証明書)の取得方法
名義変更の最大のハードルの一つが「車庫証明」です。
車庫証明が必要な理由
「自動車の保管場所の確保等に関する法律」により、車の所有者は保管場所を確保することが義務付けられています。名義変更前に、新しい所有者の住所地を管轄する警察署で取得しておく必要があります。
警察署での申請手順
①書類の作成
・自動車保管場所証明申請書
・保管場所標章交付申請書
・所在図・配置図
・自認書(自分の土地の場合)または保管場所使用承諾証明書(賃貸駐車場の場合)
②申請
警察署の窓口へ提出。手数料(約2,100円〜2,700円、自治体により異なる)を支払います。
③受取
数日後(通常3〜7日)、再び警察署へ行き、証明書を受け取ります。
名義変更にかかる費用・税金の詳細
手続きにはいくつかの実費が発生します。
登録手数料(印紙代)
普通車の場合、移転登録手数料として500円の検査登録印紙代がかかります。
ナンバープレート代
管轄(例:品川から足立など)が変わる場合、ナンバープレートを新調する必要があります。
・通常のプレート:1,500円〜2,000円程度
・希望ナンバー:4,000円〜6,000円程度
・図柄入りプレート:7,000円〜10,000円程度
環境性能割(重要)
2019年に自動車取得税が廃止され、新たに導入された税金です。
車の価値(取得価額)が50万円を超える場合に課税されます。中古車の場合、年式や型式に応じた「課税標準額」に環境性能に応じた税率(0〜3%)を掛けて算出します。古い車であれば0円になることも多いですが、高年式の高級車を譲り受ける際は数万円〜十数万円かかることもあるので注意が必要です。
自動車税の月割り精算
年度の途中で名義変更をしても、その年度の自動車税は旧所有者に還付されるわけではありません(移転登録の場合)。そのため、個人間売買では残り月数分を新所有者が旧所有者に支払うという慣習(精算)が多く見られます。
運輸支局での手続きの流れ
準備が整ったら、平日の日中に運輸支局へ向かいます。
書類作成と印紙の購入
現地で「OCRシート(申請書)」を購入(または配布)し、見本を参考に記入します。また、手数料納付書に印紙を貼り付けます。
窓口への提出
記入した書類一式と、持参した必要書類(印鑑証明等)を窓口に提出します。不備がなければ、15分〜1時間程度で新しい車検証が発行されます。
税申告とナンバー返納
新しい車検証を受け取ったら、隣接する税事務所の窓口で「自動車税・環境性能割」の申告を行います。ナンバーが変わる場合は、ここで古いナンバーを返納します。
封印(普通車のみ)
新しいナンバーを車に取り付けます。最後に「封印」係の人に、車台番号の確認とナンバーへの封印(後ろのナンバーの左側)をしてもらい、完了です。
※軽自動車には封印がありません。
ケース別:特殊な名義変更の注意点
所有者が亡くなった場合(相続)
車は「遺産」となるため、通常の名義変更よりも複雑です。
必要書類
・亡くなった人の戸籍謄本(死亡の事実と相続人全員の確認)
・相続人全員の記載がある戸籍謄本
・遺産分割協議書(相続人全員の署名・捺印)
・譲り受ける相続人の印鑑証明
※車の価値が100万円以下の場合は、「遺産分割協議成立申立書」という簡略化された書類で済む場合があります。
未成年者が所有者になる場合
未成年者は単独で法律行為ができないため、以下の書類が必要です。
・両親(法定代理人)の同意書
・戸籍謄本(親子関係の証明)
・両親のうちどちらか一人の印鑑証明書
住所変更と名義変更を同時に行う場合
引っ越しと同時に車を譲り受けるようなケースです。この場合、新所有者の住民票があれば手続きは「移転登録」として一本化できます。ただし、車検証に記載されている旧所有者の住所が、旧所有者の印鑑証明書の住所と異なる場合は、旧所有者側の「住所繋がりの証明(住民票の除票や戸籍の附票)」が必要になります。
業者に依頼する場合 vs 自分で行う場合

メリット・デメリット
・自分で行う
メリット:代行手数料(1万〜3万円程度)を節約できる。
デメリット:平日の昼間に動かなければならない。書類不備があると何度も足を運ぶことになる。
・業者(行政書士・ディーラー)に依頼
メリット:書類を渡すだけで確実。車を支局に持ち込まずに済む「出張封印」が利用できる場合もある。
デメリット:代行費用がかかる。
費用相場の比較
自分で行う場合の実費は約3,000円〜(ナンバー代+印紙代)。
業者に依頼する場合、これに代行手数料として15,000円〜30,000円程度が加算されます。
名義変更後の重要事項:任意保険の切り替え
車検証の名義が変わっても、「任意保険」は自動的には変わりません。
これを忘れると、無保険状態で運転することになり、非常に危険です。
・車両入替
すでに別の車で保険に入っている場合は「車両入替」の手続き。
・新規加入
新たに入る場合は、名義変更後の車検証のコピーを保険会社に送り契約。
・等級の継承
同居の親族間であれば、高い割引率(等級)を引き継ぐことができます。
まとめ:スムーズな所有者変更のためのチェックリスト
最後に、手続きを失敗させないための重要ポイントをまとめます。
①期限を守る
譲受から15日以内に手続きを行う。
②書類の有効期限を確認
印鑑証明や車庫証明は発行から3ヶ月以内(車庫証明は1ヶ月以内が望ましい)。
③住所の繋がりを確認
旧所有者が引っ越している場合、車検証住所と印鑑証明住所を繋ぐ住民票等があるか。
④車庫証明を先に取る
警察署での発行に数日かかるため、真っ先に着手する。
⑤環境性能割の確認
高価な車の場合、納税額を事前にシミュレーションしておく。
⑥保険の手続きを忘れない
名義変更完了と同時に保険が適用されるよう手配する。
自動車の名義変更は、一見難しそうに思えますが、書類さえ正しく揃えれば個人でも十分可能です。もし不安がある場合や時間がない場合は、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。正しい所有者変更を行い、安心・安全なカーライフを送りましょう。
本コラムの情報は一般的な事例に基づくものであり、自治体や運輸支局の判断、法改正により細部が異なる場合があります。実際の手続きの際は、管轄の運輸支局等へ事前に確認することをお勧めします。

- 出身地
- 埼玉県所沢市
- 担当部署
- リテール営業
- 略 歴
- 2019年にオートアベニューへ転職入社。
「お客様に寄り添う」をモットーに、快適なカーライフの提供に邁進中。新車、中古車、車検などの整備についての最新情報を発信!お客様からの「ありがとう。」を糧に毎日を全力で駆け抜けています!
- 出身地
- 東京都西東京市
- 役 職
- 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長
- 略 歴
-
1995年~1996年 オートアベニューでアルバイトをする
1997年~2002年 夫の仕事の関係で5年間オーストラリアへ
2002年4月~ 帰国後 株式会社オートアベニュー入社
2005年 株式会社オートアベニュー 専務取締役 就任
2008年 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長 就任 今に至る
車業界歴約30年。現在100年に一度の変革期と言われている車業界、EV化・自動運転・空飛ぶ車などに加え、車検法などの各種法律関係で多くの法改正が行われています。
今まで学んだ多くの事や車業界界隈の様々な事をわかりやすく、皆様にお伝えいたします。







