【国産車エンブレムの深淵】日産編~「ダットサンの情熱」から「インフィニティの交錯」、そして未来の光へ~
目次
プロローグ|日産の顔に宿る「至誠」の精神
日産自動車のエンブレムの歴史は、他のどのメーカーよりも「情熱」と「挑戦」の色彩を強く帯びています。その根底にあるのは、創業者・鮎川義介が掲げた「至誠天日を貫く(しせいてんじつをつらぬく)」という精神です。「強い意志があれば、太陽さえも貫通できる」というこの信念が、日産のエンブレムの造形には一貫して流れています。
今回は、日産の原点である「ダットサン」の物語から、迷いと挑戦の象徴であった「インフィニティ」時代、そして最新のデジタル時代まで、その変遷を深く掘り下げます。

第一章|ダットサンの誕生とトリコロールの誇り
日産の歴史は、1930年代の「ダットサン(DATSUN)」というブランド抜きには語れません。
1933年、日産の原点「ダットサン12型」
日産の前身である戸畑鋳物自動車部が製造した「ダットサン12型」などの初期モデルには、今見ても鮮やかな「トリコロール(赤・白・青)」のエンブレムが冠されていました。
【画像イメージ解説:ダットサンの初代エンブレム】
・デザイン
鮮やかな「赤い円(太陽)」を背景に、「青い横帯」が貫き、そこに白文字で「DATSUN」と記されたデザイン。
・意味
赤い円は日本の象徴である「日の丸(太陽)」を、青い帯は「青空」を表現しています。これがまさに「至誠天日を貫く」を具現化したものでした。
この赤・白・青の配色は、後の「ダットサン・ブルーバード」などにも継承され、日産=スポーティ、日産=情熱というイメージを決定づける原点となりました。現在でもヘリテージイベントなどでこのマークが使われると、オールドファンが熱狂するのは、そこに「日本のモータリゼーションの夜明け」が刻まれているからです。
第二章|日産ブランドへの統合と「ハンバーガー・ロゴ」の時代
戦後、輸出の拡大とともにブランドは「NISSAN」へと集約されていきます。
2001年、ブランド再構築
1990年代の経営危機を経て、ルノーとの提携。カルロス・ゴーン氏の就任とともに、日産のブランドアイデンティティは再び強化されました。ここで誕生したのが、2020年まで約20年間にわたり使われた、馴染み深い「立体エンブレム」です。

【画像イメージ解説:少し前の日産エンブレム】
・デザイン
通称「ハンバーガー・ロゴ」。円形(太陽)を、横長のプレート(空)が貫く造形を、分厚いクロームメッキで表現。
・印象
非常に力強く、重厚。「金属の塊」としての存在感があり、GT-RやフェアレディZといったスポーツカーからトラックまで、日産のタフなイメージを支えました。
第三章|異例の「インフィニティ・マーク」採用とブランドの葛藤
日産のエンブレム史において、最も議論を呼び、かつ興味深いのが、日本国内で「インフィニティ(Infiniti)」のエンブレムを採用した時代です。

なぜスカイラインに「富士山」のマークがついたのか?
インフィニティは本来、北米などの海外市場向けに展開されていた日産の高級車ブランドです。そのエンブレムは「無限の彼方へと続く道」を表現しており、日本人には「富士山」のようにも見えるデザインです。
2013年、日本で発売されたV37型スカイラインは、フロントグリルに日産の「ハンバーガー・ロゴ」ではなく、インフィニティのエンブレムを掲げて登場しました。
プレミアム戦略の迷いと挑戦
・対象車種
V37スカイライン、Y51フーガ(後期型)。
・背景
世界基準のプレミアムカーとして、日産ブランドとは一線を画す品質をアピールするため。
・ファンの反応
「スカイラインは日産の魂。なぜ他ブランドのマークをつけるのか」という反対意見と、「海外の高級車のようでカッコいい」という賛成意見に二分されました。
結局、2019年のマイナーチェンジでスカイラインは再び「日産のエンブレム」へと戻りました。この時、ファンは「スカイラインが日産に帰ってきた」と歓迎しました。この数年間は、日産が自らのブランドの立ち位置を模索した、激動の歴史の象徴と言えるでしょう。
第四章|2020年の革命―「デジタル・エンブレム」の夜明け
そして2020年、日産は19年ぶりにエンブレムを刷新します。電気自動車「アリア」の発表とともに披露された新デザインは、これまでの「金属の重み」を脱ぎ捨てたものでした。

【画像イメージ解説:今の新日産エンブレム】
・デザイン
完全にフラットな2Dデザイン。円形は上下で分断され、細く鋭いラインで構成。
・技術の進化
実車のエンブレムには「光る機能」が備わりました。
□ 20個のLED: 20年ぶりの刷新を象徴するように、20個のLEDがロゴを縁取ります。
□ 厚さ0.1mm以下の精度: レーダーを通すために平らでありつつ、奥行きを感じさせるインジウム塗装など、日本の精密技術が凝縮されています。
なぜ変えたのか?
「紙の上でも、スマホの画面でも、そして光り輝く車体の上でも、同じように美しく見えること」。これが新エンブレムの命題でした。重いガソリンエンジンのイメージから、軽やかでクリーンな「電気」の時代へ。日産はこのエンブレムに、第2の創業とも言える決意を込めたのです。
エピローグ|時代が変わっても、太陽は貫き続ける
ダットサンの赤い丸に始まった「太陽」のデザイン。形は変われど、日産のエンブレムには常に「中心を貫く水平のライン」が存在し続けています。
それは、どんな困難があっても理想を貫くという、1933年から続く日産のDNAそのものです。V37スカイラインがインフィニティマークを背負った日々も、最新のアリアが光るエンブレムで夜を照らす今も、その根底にあるのは「技術の日産」という誇りです。
次回、【連載第3弾:ホンダ・マツダ・スバル・三菱・スズキ・ダイハツ編】では、各社のユニークな出自と、最新のエンブレムに込められた「らしさ」の守り方に迫ります。
出典:日産自動車ニュースルーム「日産ブランドロゴ、その歴史を振り返る」より

- 出身地
- 埼玉県所沢市
- 担当部署
- リテール営業
- 略 歴
- 2019年にオートアベニューへ転職入社。
「お客様に寄り添う」をモットーに、快適なカーライフの提供に邁進中。新車、中古車、車検などの整備についての最新情報を発信!お客様からの「ありがとう。」を糧に毎日を全力で駆け抜けています!
- 出身地
- 東京都西東京市
- 役 職
- 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長
- 略 歴
-
1995年~1996年 オートアベニューでアルバイトをする
1997年~2002年 夫の仕事の関係で5年間オーストラリアへ
2002年4月~ 帰国後 株式会社オートアベニュー入社
2005年 株式会社オートアベニュー 専務取締役 就任
2008年 株式会社オートアベニュー 代表取締役社長 就任 今に至る
車業界歴約30年。現在100年に一度の変革期と言われている車業界、EV化・自動運転・空飛ぶ車などに加え、車検法などの各種法律関係で多くの法改正が行われています。
今まで学んだ多くの事や車業界界隈の様々な事をわかりやすく、皆様にお伝えいたします。







